XtoEarnのエコシステム・ビジネスモデルについて

概要

  • 参加してX(行動)をすることで報酬を得ることができるプロジェクト
  • 報酬をプロジェクト内でのみ使えるポイント等ではなく、実際の通貨に換えることができるのがWeb3.0としてのポイント
  • a16z 公式 Web サイトで公開された記事で、RabbitHole の運用責任者である Ben Schecter によって最初に提案された
  • X to Earn、X-to-Earn、X2Eなどと表現される
  • Xにはいろいろな行動をあてはめることができる(XtoEarnプロジェクト 調査メモまとめ)が、プロジェクトに参加してアプリを使うことで仮想通貨を得るという意味では、どのプロジェクトもPlayToEarnの要素があると言えそう

PlayToEarnのエコシステム

一般的なBlockchainゲームのEconomics関係

Block Researchから引用した図に一部追記

構成要素

  • Gamers: ゲームのプレイヤー
  • Guilds: Gamersのグループ
  • Game Developers: ゲームの開発者、デザイナー等
  • Community Treasury: アセット(トークン、ゲーム内アイテム等)をプールするところ
  • Secondary markets: Gamersが獲得したアセットを取引するところ
  • Governance staking: Governance tokenのステーキングを行う(ところ)

関係性

  • Game developersが、ゲーム内アイテム、ゲーム内通貨、ガバナンストークン等をGamersに配布し(①)、Gamersから収益を得る(②)
  • Gamersはゲームプレイ中に報酬トークンを得る(⑪)一方で、アイテムをSecondary marketsで売却し(⑬)、手数料やロイヤルティをCommunity Treasuryにプールする(⑭)
  • GuildはGamersのグループであり、Guild単位でGame developersからアイテム等の配布を受け(⑯)、対価を支払ったり(⑰)、ゲームプレイ中の報酬トークンを得る(⑫)こともできる。所属するGamerが持つトークンを共有し(⑨)、それと引き換えにGuildで購入したゲーム内アイテムを貸し出す(⑩)
  • Gamers、Game developers、Guildsがガバナンストークンを所有・ステークする(③、⑤、⑦)ことで、投票権を得る(④、⑥、⑧)

ビジネスモデル

マネタイズ

  • ほとんどのプロジェクトが広告収入によりマネタイズを試みている。ただし、すなわち、魅力あるコンテンツで集客し、広告を表示・または実際にサービスと連携することで広告主から収益を得ている。ただし、Web2.0時代と比べて、ユーザーにとって不必要な広告が表示されることが少なくなるような構造になっている
    • 例えば、Braveはブラウザの広告をほぼすべてカットし、Braveが提供する広告のみ表示させる(しかも広告を見るとBATトークンを得ることができる)。参考:WatchToEarnプロジェクト 調査メモ
  • 従来通りのサービス内課金や、有料のプレミアム会員を設定する(Freemiumモデル)なども多くのプロジェクトで採用されている。
  • Web3.0時代となって大きく変わった点として、サービス上でユーザーのデータを取得するときの、収集データの種類が増えている点が挙げられる。Web2.0では、ブラウジング行動のデータやGPSを用いた位置データを収集して、UIやサジェスト表示の最適化に役立てることが多かったが、XtoEarnのプロジェクトでは脈拍データなども対象になっている。今後メタバースがさらに普及した場合、より多彩な行動がデジタル化されることになるため多種多様なデータ取得が可能となり、よりハイレベルな最適化が可能になり、最適化する対象も増加していくと考えられる。
  • また、Web2.0時代に存在した(クリエイターからしたら)不当に高額な仲介料を問題視しているため、仲介料は安くしているプロジェクトが多い。

DAOについて

  • ほとんどのXtoEarnプロジェクトは仮想通貨・スマートコントラクトを用いたDAO(Decentralized Autonomous Organization)によって運営されている。したがって、DAOをいかに効果的に運営できるかがXtoEarnプロジェクトが成功するかどうかのキーポイントとなる。
    • DAOは、従来の階層型の組織体系と異なり、メンバー同士がフラットな関係となるため、トップダウンやボトムアップといった概念(理想的には)が存在せず、イノベーションが起こりやすい組織体系として期待されている。
    • 参考:About DAO -definition, features, pros and cons-
  • 実質、Blockchainを用いたスマートコントラクトにより実現可能となった節があり、非常に新しいスタイルであるため、いまだ発展途上でありDAOを用いたプロジェクトのマネタイズ方法については各プロジェクトで模索されている状態である。
  • また、DAOは投票システムを前提としており、AIが組織内の人間になり替わりやすい。メタバースが普及してユーザーの様々な行動がデータ化できれば、それらを学習データとして用いて高度なAIが誕生し、DAO内で活躍することも考えられる。さらに、DAO内のすべてのメンバーがAIとなる可能性も見えてくる等、技術の進展によってさまざまなことの自動化・最適化に大きな影響を及ぼしうる。したがって、DAOやメタバースを運営し、データを収集するだけでも将来的に効果があると考えられる。

参考